発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014204297
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61歳女。冠攣縮性狭心症(CSA)、高血圧でisosorbide dinitrate、nifedipine、うつ病で選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)を内服していた。今回、労作時前胸部重苦感を主訴とし、左冠状動脈主幹部(LMT)に有意な狭窄病変を認め当科紹介となった。心臓カテーテル検査で冠状動脈は全体的に攣縮傾向で、LMTに90%の狭窄を認めた。CSAでLMT病変というハイリスク例であったため、冠状動脈攣縮に注意を払い準備を進めた。麻酔導入前に大動脈内バルーンパンピングを挿入し、冠拡張薬の持続投与、厳重な血圧管理、体温管理のもとに心拍動下冠状動脈バイパス術を行った。術終了時、突然に心電図モニター上II誘導でSTが上昇し、次いで完全房室ブロック、徐脈となり、回復後ICUに帰室したものの異常発汗、39℃を超える発熱を認めた。更に、術翌日にはCKおよびWBCの著明上昇、進行性アシドーシスを呈した。経過とSSRI服用の既往から悪性症候群を疑い、dantrolene sodium hydrateを投与したところ、病態は速やかに改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014