発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011034196
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
54歳男。胸部不快感を主訴とした。胸骨左縁第3肋骨間に収縮期雑音を聴取し、単純X線で心胸郭比62%、心電図でV1でR波増高不良、V5、V6でST低下を認め、心臓超音波で両心房拡大、左室心筋肥大を認めた。冠状動脈造影および心臓カテーテルを施行したところ、右上肺静脈(RUPV)が上大静脈(SVC)高位に還流する部分肺静脈還流異常症と診断し、心内修復術(Williams法)を施行した。卵円窩を中心に心房中隔を切除し、25×30mmの心房中隔欠損(ASD)を作成した後、SVCの右房開口部とASDの間に新鮮自己心膜パッチを縫着してバッフルを作成した。SVCはRUPV流入部の頭側で切断して中枢側断端を縫合閉鎖し、遠位側断端は右心耳先端部に吻合した。術後CT所見に問題はなかったが、6ヵ月後に咳嗽を自覚し、胸部X線で右上肺野の透過性低下を認めた。肺血流シンチグラムおよび血管造影で肺静脈閉塞と診断し、再手術を施行した。バッフルは肥厚・退縮し、心房中隔に固着しており、同組織を切除した後、ASDを頭側に拡大してePTFEパッチをSVC開口部と連結するように縫着した。術後画像所見は改善し、36日目に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010