発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011034194
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64歳男。5年前に人間ドックで収縮期雑音を指摘され、心エコーおよび左室造影で僧帽弁閉鎖不全症(MR II度)を認めた。以後経過観察していたが、三尖弁に径10mm大の腫瘤を認め、徐々に増大したため手術施行となった。経食道心エコーで三尖弁前尖に付着する腫瘤は径20mm大であった。開胸術を施行し、体外循環下に大動脈を遮断して上方中隔切開アプローチで右房から左房内に到達した。三尖弁前尖の前方1/3の部分で弁尖中央部に2cmのイソギンチャク様腫瘍を認め、付着部はやや広基性で、前尖を三角形に切除して5-0プロリン糸で縫合閉鎖し、MC3 28mmで弁輪を形成した。僧帽弁にはP3に2本の腱索断裂と逸脱を認め、矩形切除およびDuran partial band 27mmによる弁輪形成を行った。病理組織所見で腫瘍は細い茎を持った乳頭状構造を示し、乳頭状の各組織は中心にガラス様の膠原線維を有し、軸付近の太い茎には弾性線維の増生を伴う乳頭状弾性線維腫の所見であった。術後14病日に軽快退院し、1年経過して腫瘍の再発はなく、MRや三尖弁閉鎖不全の進行もない。
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