発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008133514
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77歳女。患者は近医で高血圧および狭心症で加療中、胸部大動脈瘤を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。MRAでは最大径65mmの胸部下行大動脈瘤、40mmの胸腹部大動脈瘤、50mmの腹部大動脈瘤を認め、多発性大動脈瘤と診断された。一期的人工血管置換術を予定として帰宅したが、4日後、買い物中に左前胸部痛を来し緊急入院となった。所見では冠状動脈造影で左冠状動脈分岐部に有意狭窄が確認され、多発性大動脈瘤のため大動脈内バルーンパンピング挿入は危険性が高いと判断、経皮的冠動脈形成術は断念した。そして早急な術後回復を期待して、心拍動下冠状動脈バイパス術(OPCAB)を選択、術後可能な限り早期に二期的大動脈瘤手術を行うこととした。だが、OPCAB後11日目に胸部下行大動脈瘤が破裂し、同日緊急に胸部下行、胸腹部大動脈瘤人工血管置換術、腹腔動脈再建が施行された。その結果、経過良好で、2ヵ月後に腹部大動脈瘤置換術が行われ、術後は独歩退院となり、現在は術後3年7ヵ月経過、外来通院中である。
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