発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010320098
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97歳女。胸痛と呼吸苦のため救急搬送され、造影CTで急性大動脈解離(DeBakey分類II型)と診断した。ICUでnicardipine hydrochloride持続点滴を行い、高齢のため保存的に様子をみていたが、胸痛が持続し、動脈瘤の径も大きく破裂の危険性が高いため、発症8日目に胸骨正中切開で開胸し、人工血管による上行大動脈置換術を行った。右房がもろく脱血のカニュレーション部位が裂けて止血に難渋した以外は、特に著変なく手術を終了した。術後、麻酔の覚醒不良でnaloxone hydrochlorideを静脈注射すると、開眼したが従命がとれず、翌日体動が激しく鎮静を開始した。また、右顔面と右肩に軽度の痙攣が出現し、diazepam静脈注射で改善したが、意識レベルの改善はなかった。なお、脳CTで明らかな異常所見はなかった。術後3日に呼びかけに反応し、呼吸、意識レベルは徐々に改善して術後5日に人工呼吸器から離脱した。術後2週のMRAで人工血管吻合部に異常はなく、解離腔の消失を認め、術後約1ヵ月に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010