発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010107241
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72歳男。呼吸苦、咳を主訴とした。大動脈弁閉鎖不全症による心不全に対して大動脈弁置換術が行われ、術前の冠状動脈造影では動脈硬化性病変と壁不整を認めるものの有意な狭窄はなかった。しかし、術直後に血圧が急に低下して心室性不整脈を繰り返し、経皮的心肺補助装置(PCPS)と大動脈内バルーンパンピング(IABP)確立、大動脈-冠状動脈バイパス術を行うも心室細動が頻発した。術中エコーで部分的な壁運動の悪化を認めたこと、バイパス施行時に内腔からの血流が少なかったこと、PCPS、IABP確立時に極端なST変化を繰り返したことから冠状動脈攣縮を疑い、nicorandil、diltiazem hydrochlorideを持続投与したところ血行動態は安定した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010