発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006105432
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冠状動脈バイパス術(CABG)後の広範囲冠状動脈攣縮に対するnicorandilの有用性を報告した.対象は,CABG後24時間以内に循環動態が破綻し緊急冠状動脈造影(CAG)で冠状動脈攣縮と診断した7例(男性6例,女性1例・平均年齢60.4歳)で,全例に冠攣縮性狭心症の既往,術前の低左心機能例はなかった.術式はoff-pumpCABG 2例,on-pumpCABG 4例,on-pump beating 1例であった.冠状動脈攣縮の発症形態はショック5例,心停止2例,発症時期は術中2例,5例は術後平均5.2時間に発症した.治療は術中発症例は術直後に,術後発症例は補助循環確立後にカテーテル室へ搬送し緊急CAGを施行した.全例にnitroglycerin,diltiazem hydrochlorideのグラフトおよび冠状動脈注入を行ったが十分な拡張が得られず,nicorandilのグラフトと冠状動脈注入で拡張が得られ,心電図でもST変化が改善し,造影上で攣縮の軽減を確認した.転帰は心停止で発症の1例は蘇生後脳症で11日目に死亡したが,他6例は合併症を残さず回復した
©Nankodo Co., Ltd., 2006