胸腔鏡を用いた縦隔疾患の手術適応とその手技
外科的アプローチの選択 嚢胞性胸腺疾患に対する手術アプローチ
松村 輔二
1
,
箕輪 宗生
,
荒木 修
,
苅部 陽子
,
江場 俊介
,
野津田 泰嗣
,
佐藤 航太
,
鈴木 寛利
1太田綜合病院附属太田西ノ内病院 呼吸器センター外科
キーワード:
奇形腫
,
胸腔鏡法
,
胸腺腫
,
血管腫
,
縦隔嚢胞
,
術前診断
,
リンパ腫
,
仰臥位
,
手術時体位
,
拡散MRI
,
胸骨切開術
,
MPR (Multiplanar Reconstruction)
,
胸部CT
,
側臥位
Keyword:
Hemangioma
,
Mediastinal Cyst
,
Lymphoma
,
Thoracoscopy
,
Thymoma
,
Teratoma
,
Supine Position
,
Diffusion Magnetic Resonance Imaging
,
Sternotomy
pp.939-943
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013124367
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著者らが最近4年間に経験した嚢胞性胸腺疾患25例(男性15例、女性10例、年齢22~77歳、平均年齢55歳)の術前画像、手術アプローチ、手術所見、術後病理診断から適正な手術アプローチ選択について検討した。その結果、画像所見による形態分類では孤立性嚢胞が19例、腫瘤随伴嚢胞が5例、多房性嚢胞が1例で、術前診断は胸腺嚢胞が10例、嚢胞性胸腺腫が7例、成熟奇形腫が4例、縦隔嚢胞が2例、多房性胸腺嚢胞、胸腺リンパ腫が各1例であった。手術アプローチは胸腔鏡アプローチが20例(うち3例は開胸手術に移行)、胸骨正中切開が5例であった。最終病理診断は先天性嚢胞が16例(胸腺嚢胞13例、心膜嚢腫・憩室2例、起源不明嚢胞1例)、胸腺腫が3例、後天性嚢胞(多房性胸腺嚢胞)、成熟奇形腫、胸腺癌、脂肪腫ほか、血管腫、胸腺リンパ腫が各1例であった。孤立性薄壁嚢胞は画像診断のみで先天性嚢胞として胸腔鏡手術の良い適応と思われたが、それ以外の嚢胞性病変には多様な疾患が含まれており、内部が不均一な嚢胞や腫瘤を伴う嚢胞では胸腺腫・胸腺癌の可能性も考慮して術中に迅速病理診断を行う必要があると考えられた。
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