発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012175458
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66歳女。関節リウマチ(RA)の経過観察中に前縦隔の腫瘤影を指摘された。CTで内部が不均一に造影される35×20×65mmの腫瘤陰影を認め、MRIのT1強調画像で等信号、T2強調画像で高信号を示した。FDG-PETでは腫瘤にSUVmax 8.7の集積が認められた。嚢胞変性を伴った胸腺上皮性腫瘍が考えられ、悪性度の高い胸腺腫または胸腺癌を疑った。胸骨正中開胸で胸腺および胸腺腫瘤を摘出し、腫瘤は多房性で被膜を有し、縦隔胸膜・心膜と癒着していたが浸潤傾向はなかった。病理組織所見で、正常胸膜に連続して大小の嚢胞が形成され、嚢胞壁は扁平上皮や線毛円柱上皮で覆われ、Hassall小体が嚢胞性拡張を起こして形成された病変と考えられた。内腔には滲出物やコレステロール血症を含み、周囲の間質に胚中心を伴うリンパ濾胞の増生が認められた。リンパ濾胞形成に多房性胸腺嚢胞が合併した病態と診断された。術後経過良好で24ヵ月後も再発はなく、RAの症状は術直後より緩和した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012