発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009071792
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63歳女。23年前に胸腺腫摘出術を受け、診断は正岡病期I期で、術後補助療法は行っていなかった。今回、咳・発熱が出現し、胸部X線で右肺野に腫瘤を指摘された。CTでは右背側の胸壁に径3.3cmの腫瘍を認め、神経原性腫瘍などの良性腫瘍を考え、胸腔鏡補助下手術を施行した。腫瘍と右肺下葉は癒着しており、肺を一部合併切除した。胸壁にも強固に癒着しており、胸腔鏡下での剥離は困難であったため、小開胸をおき摘出した。切除標本で腫瘍は被膜を有し、最大径3.0cm、充実性、多房性で脆く崩れやすかった。病理組織学的にはリンパ球優位の領域と紡錘型細胞の領域を含む腫瘍で、免疫染色所見と併せて胸腺腫WHO分類type AB型と診断された。前回手術の病理標本の再検討で正岡病期II期と訂正され、腹膜播種での再発と考えた。また胸部CTを再検したところTh6椎体右側にも腫瘤を認め、2ヵ月後に開胸摘出術を行い、病理組織所見は同様の胸腺腫であった。術後1年経過し再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009