発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016030716
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46歳女。咳嗽、喀痰を主訴とした。血算・生化学検査で異常はなく、抗アセチルコリンレセプター(AchR)抗体は0.2nmol/l以下であった。造影CTで心右側に43×45×55mm大の内部が不均一に造影される境界明瞭な腫瘤を認め、PET-CTでは腫瘤に限局して高集積を認めた。胸腔鏡下に胸腺腫摘出術および胸腺部分切除術を施行し、病理診断はType ABの胸腺腫で、悪性所見は認めなかった。併せて摘出した胸腺には胸腺嚢胞が散見されたが、腫瘍性病変は認めなかった。腫瘍の被膜外浸潤はなく、正岡分類I期と診断した。術後5日に眼瞼下垂を認め、翌日に両上肢の挙上困難と易疲労感が出現した。抗AchR抗体は18.7nmol/lと上昇しており、テンシロンテスト陽性で、全身型の重症筋無力症と診断した。術後24日にコリンエステラーゼ阻害薬とtacrolimus hydrateの内服を開始し、症状は著明に改善した。現在、薬物療法を継続し、無症状で経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2015