発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008366083
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
59歳男。動悸、悪寒、胸部圧迫感、食思不振を主訴とした。胸骨左縁第4肋間に最強点を有する連続性雑音を聴取し、胸部X線では心胸郭比55%、両肺野にうっ血像を認めた。血液検査では高度肝機能障害、炎症、腎機能障害、心不全、貧血、PLT減少を認めた。心エコーでは右房の拡大および大動脈弁上の無冠状動脈洞に瘤様拡大と欠損孔、右房内に浮遊する膜性組織を認めた。カラードプラでは瘤から右房へのシャント血流を認め、無冠状動脈から右房への開口したValsalva洞動脈瘤破裂(今野分類IV型)と診断し手術を行った。菲薄化した瘤壁を部分切除し瘤基部を右房側からプロリン糸で縫合閉鎖した。次いで大動脈側から拡大・石灰化した無冠状動脈洞を全体的に覆うように事故心膜パッチを縫着した。下方は大動脈弁輪を縫合線としてプロリン縫合針を左室側から大動脈側へ刺入し、水平マットレス結節縫合を弧状に行った。上方は石灰化が及んでいない大動脈洞管接合部にプロリン糸を用いて自己心膜パッチにギャザーを寄せつつ連続縫合し、十分にたわんでValsalva洞壁に密着するようにした。術後経過は良好で、短絡血流はなく、ARもごく軽度にとどまった。肝機能はすみやかに改善し、心胸郭比も43%となり、肺うっ血も消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008