発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009234165
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77歳男性。患者は全身倦怠感と発熱を主訴に近医を受診、感染性心内膜炎(IE)と考え、ampicillinの投与が開始された。しかし、聴診にて連続性雑音が聴取され、経胸壁エコーを行なったところ、IEを原因としたValsalva洞瘻による心不全と診断された。そこで、著者らの施設へ紹介入院となり、胸部X線ではCTRは56%、広範なスリガラス様陰影が認められ、心臓超音波ではValsalva洞から右房と右室に短絡血流が認められた。ampicillinとgentamicinの点滴投与を行い、感染徴候が軽快した後、手術が施行されたが、その結果、術中所見では大動脈弁はニ尖でIEにより脆く、石灰化とともにvegetationが付着していた。更にValsalva洞の無冠尖の右交連側から右房に、また左冠尖の右交連側から右室に瘻孔が確認された。大動脈弁を切除し、Carpenter Edwards Perimount 23mmを用いて置換し、穿孔部は自己心膜パッチで閉鎖した。だが、術直後より完全房室ブロックを合併していたため、術後17病日に体内式ペースメーカ挿入され、以後はampicillin投与の継続で経過は良好となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009