発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008366082
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41歳女。労作時呼吸困難があり、次第に起坐呼吸、喘鳴が出現した。画像検査所見より、左房内腫瘍による心不全と診断し手術を施行した。腫瘍は僧帽弁前尖弁輪の直上の左房天井に広基性に発生しており、付着部の左房壁を切除すると僧帽弁輪損傷のおそれがあったため、心内膜のみ削ぐように切除した。病理組織では多核細胞や核分裂像を伴う未分化多形性肉腫を認めた。外来で経過観察していたところ、術後約10ヵ月に画像検査で左房前壁に腫瘍の再発を認め、再手術を行った。腫瘍は僧帽弁前尖・弁輪・左房前壁にかけて再発しており、左房前壁の心筋の一部と僧帽弁前尖を腫瘍と共に切除し、SJM弁にて僧帽弁置換術を行った。また左房後壁にも腫瘍が散在していたため、心内膜と共に削ぐように切除した。病理組織は前回と比較して腫瘍細胞の異型性が増し、奇異核を有するものや多核細胞も多くなっていた。術後順調に回復したが、3ヵ月後に腫瘍再発にて死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008