発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006269258
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78歳女.突然の胸痛と全身倦怠感が出現した.心胸郭比は72%であった.造影CTでは心嚢液貯留,左胸水貯留,及び大動脈基部の変形を認めた.患者は病歴聴取時に突然の嘔吐と急激な意識レベル低下を生じた.心エコーで,心嚢液増加による心タンポナーデを認めた.心嚢ドレナージ術により血性心嚢液を吸引したが,その後の経食道心エコー,CTでも確定診断はできず,緊急手術を行った.大動脈後面には瘤化したValsalva洞を認め,Valsalva無冠洞からの血液噴出を認めた.大動脈弁は3尖で,Valsalva無冠洞が嚢状に拡大し,潰瘍を伴って心外へ破裂していた.ウマ心膜パッチを22×35mm大にトリミングして大動脈内側に置き,新たなValsalva洞を形成した.術後,呼吸循環動態は安定し,経過は良好であった.又,心エコー,造影CTでValsalva洞形成部に拡大,及び漏出がないことを確認した
©Nankodo Co., Ltd., 2006