急性大動脈解離の外科治療
臓器虚血 弓部分枝閉塞による脳虚血を伴った急性A型大動脈解離の手術戦略
茂木 健司
1
,
高原 善治
,
畠山 正治
,
土居 厚夫
1船橋市立医療センター 心臓血管外科
キーワード:
術後合併症
,
大動脈瘤
,
動脈瘤-解離性
,
脳虚血
,
脳循環
,
脳梗塞
,
生存分析
,
大動脈置換術
,
手術時間
,
脳分離体外循環
Keyword:
Aortic Aneurysm
,
Cerebrovascular Circulation
,
Aneurysm, Dissecting
,
Brain Ischemia
,
Postoperative Complications
,
Survival Analysis
,
Brain Infarction
,
Operative Time
pp.292-295
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007205499
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弓部分枝閉塞による脳虚血を伴った急性A型大動脈解離の手術成績を検討した。対象は1994年8月~2006年8月までに手術を行った急性A型大動脈解離90例で、脳虚血群17例(男性12例、女性5例・平均58.7歳)と脳虚血を認めない対照群73例(男性39例、女性34例・平均60.7歳)に分けて比較した。1)病院死亡は脳虚血群1例(5.9%)、対照群7例(9.6%)、術前の脳神経症状の術後増悪または新規発症は脳虚血群4例(23.5%)、対照群7例(9.6%)でいずれも有意差はなかった。2)脳虚血群で術前に意識障害を呈していた13例中2例は広範囲脳梗塞のため降圧療法後に手術し、術後症状の悪化はなく、1例は来院時左片麻痺のため降圧療法後に準緊急に手術し、遠隔期に麻痺は消失した。残る10例は意識が回復し、脳神経症状がなく緊急手術をし、脳死1例、左片麻痺発症2例、7例は順調に経過した。3)5年累積生存率は脳虚血群69%、対照群86%で有意差は認められなかった。
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