急性大動脈解離の外科治療
腸管虚血を合併したStanford A型急性大動脈解離に対する二期的手術
圓本 剛司
1
1橋本市民病院 心臓血管外科
キーワード:
開腹術
,
胸痛
,
虚血
,
大動脈瘤
,
X線CT
,
腸疾患
,
動脈瘤-解離性
,
周術期管理
,
大動脈置換術
,
バイパス術
Keyword:
Aortic Aneurysm
,
Aneurysm, Dissecting
,
Chest Pain
,
Ischemia
,
Laparotomy
,
Intestinal Diseases
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Perioperative Care
pp.286-291
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016223999
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70歳男性。突然の胸痛を主訴に救急搬送となった。経胸壁心エコーや造影CTを行なったところ、腹腔動脈(CA)閉塞と上腸間膜(SMA)狭窄による腸管虚血を合併したStanford A型急性大動脈解離と診断された。手術は自家大伏在静脈グラフトを用いたSMAバイパス術による腸管虚血解除を先行し、腹部大動脈手術(CR)は二期的に実施する方針とした。その結果、SMAバイパス術後の経過は良好であったが、術後5日目にSMA分岐直後の末梢に内膜裂口が出現し、大動脈基部から下腸間膜動脈分岐部までの全域で偽腔の再開通を認めた。そのため同日、緊急に上行大動脈置換術および弓部部分置換術によるCRを施行した。以後、経過は良好で、患者は発症から34日目に合併症なく独歩退院となった。尚、術後22ヵ月経過現在、腹部症状なく良好に経過している。
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