急性大動脈解離の外科治療
治療戦略 閉塞型大動脈解離 猶予手術は許容されるか
明神 一宏
1
,
石橋 義光
,
石井 浩二
,
川崎 正和
,
岡 潤一
,
國重 英之
,
新宮 康栄
1国立病院機構北海道がんセンター 心臓血管外科
キーワード:
ドレナージ
,
心タンポナーデ
,
大動脈瘤
,
動脈瘤-解離性
,
生存分析
,
人工血管移植
Keyword:
Aortic Aneurysm
,
Aneurysm, Dissecting
,
Cardiac Tamponade
,
Drainage
,
Survival Analysis
,
Blood Vessel Prosthesis Implantation
pp.285-289
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007205498
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閉塞型大動脈解離に対する早期保存療法の成績を検討した。対象は早期保存療法を行った偽腔血栓閉塞型大動脈解離96例で、内訳はA型35例(男性15例、女性20例、平均70.5歳)、B型61例(男性45例、女性16例、平均69歳)、観察期間は中央値63.6ヵ月であった。1)A型の手術移行は18例(51.4%:急性期8例、慢性期10例)で、手術死2例、遠隔関連死2例、非手術17例(48.6%)では入院死1例、遠隔関連死1例、遠隔他病死5例であった。2)B型の手術移行は14例(23.0%:急性期3例、慢性期11例)で、遠隔他病死3例、非手術47例(77.0%)では入院死1例、遠隔関連死6例、遠隔他病死10例であった。3)入院死を含む1年、5年累積生存率は、A型手術例94.4%、82.6%、非手術例88.2%、75.5%、B型手術例100%、92.3%、非手術例91.5%、75.4%であった。4)A型手術例の偽腔比率(F/T比)は有意に小さく、B型手術例の発症時大動脈径は有意に大きかった。これらの症例では猶予手術を念頭に経過観察すべきと考えられた。
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