発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008256282
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
81歳男。胸痛後に全身倦怠感が続き、4日後のCT所見より大動脈解離を疑われた。上行大動脈は径50mmと拡張し、DeBakey II型の大動脈解離であった。大動脈弓部から下行大動脈にかけてびまん性に壁在性血栓を伴った壁不整像と、少量の心嚢水、左胸水も認めた。緊急手術を施行し、人工心肺確立後に脳分離体外循環を併用し、直腸温25℃でopen distal法により上行置換術を施行した。この際、大動脈内腔は著しい粥状硬化を呈し、縫合糸刺入部の粥状内膜は容易に剥がれる状態であった。そのため補強と脆弱な内膜を押さえ込む目的で縫合ライン内側に帯状自己心膜片を配置し、外周はテフロンフェルトで補強して3-0ポリプロピレンで末梢側吻合を行った。上行に限局した解離大動脈壁は肥厚硬化しており、慢性解離の所見であった。体外循環からの離脱は容易で、術後第3病日に脳合併症なく呼吸器より離脱し、第24病日に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008