急性大動脈解離の外科治療
手術手技 急性大動脈解離手術におけるswitching対策 マルチモニタリングと右上腕動脈送血の意義
宮入 剛
1
,
木川 幾太郎
,
三浦 友二郎
,
嶋田 正吾
,
福田 幸人
,
鰐渕 康彦
1三井記念病院 心臓血管外科
キーワード:
酸素飽和度測定
,
術中モニタリング
,
上腕動脈
,
大動脈瘤
,
動脈瘤-解離性
,
脳循環
,
経食道心エコー図
,
大動脈置換術
,
手術時間
,
脳分離体外循環
Keyword:
Aortic Aneurysm
,
Cerebrovascular Circulation
,
Aneurysm, Dissecting
,
Brachial Artery
,
Oximetry
,
Monitoring, Intraoperative
,
Echocardiography, Transesophageal
,
Operative Time
pp.319-323
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007205504
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
急性大動脈解離手術におけるswitching対策としてのマルチモニタリングと右上腕動脈送血の意義について検討した。対象は2001~2006年までのStanford A型急性大動脈解離40例(男性26例、女性14例、平均年齢63.5歳)で、2005年5月のモニタリング(両側橈骨動脈圧・片側足背動脈圧測定、経食道心エコーによる下行大動脈内腔観察、近赤外線分光法による脳内酸素飽和度維持モニター)開始以前のC群25例と以降のM群15例に分けて比較した。その結果、1)上腕動脈送血はC群で19例、M群で1例に施行された。2)入院死亡は3例(C群2例:広範囲脳梗塞と呼吸不全、M群1例:心不全)であった。3)術中のswitchingは3例(C群2例、M群1例)に認められ、C群ではswitchingの2例を含む3例で脳梗塞を認めたが、M群に脳梗塞は認めなかった。以上、これらのことからも上腕動脈送血は安全かつ容易に順行性灌流が得られる有効な補助手段と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007