発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006153686
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72歳女.8年前に胃癌で幽門側胃切除術を施行され,病理診断は低分化型腺癌であった.経過観察の胸部CTで胸骨背側に腫瘤を指摘され,その後増大したため生検を行い,中~低分化型腺癌と診断された.術前胸部CTでは胸骨後面に造影される30×18mmの腫瘤を認め,MRIのT1強調Gd造影では大胸筋への浸潤が疑われた.手術所見で,腫瘍は胸骨体左上縁,左第2肋骨の背側で増大しており,最低3cmの距離をとり,左鎖骨および第1~4肋骨,胸骨柄,胸骨体頭側半分を合併切除した.浸潤が疑われた大胸筋および左上葉も部分切除し,胸壁再建にはMarlexメッシュを用いた.病理組織所見で,胸骨内リンパ管に腫瘍塞栓を認め,大胸筋,第2肋骨に腫瘍浸潤を認めた.肺には浸潤所見がなかった.胃切除腫瘍標本との比較では,今回切除腫瘍の中に形態的に類似した腺管構造を認め,胃癌の胸骨転移と診断した.術後経過は順調で,8ヵ月経過し再発徴候はない
©Nankodo Co., Ltd., 2006