発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2004309629
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76歳女.胸骨部の痛みを主訴とした.末梢血への芽球の出現と骨髄で芽球の増生を認め,芽球の細胞化学的検索および細胞表面マーカーの解析により急性リンパ性白血病(ALL)と診断した.CT上,骨破壊を伴い,骨シンチグラフィ,Gaシンチグラフィでも同部に異常集積像を認めた.胸骨の痛みの原因は,白血病細胞の浸潤とそれによる骨破壊のためと考えられた.Adriamycin,vincristine,prednisolone,cyclophosphamide,L-asparaginaseを含む寛解導入療法を開始し,徐々に胸痛は軽快した.治療開始25日目に痛みは消失した.44日目の骨髄検査では部分寛解であったが,その後ALL-87プロトコールに準じた化学療法を行って寛解状態となり,現在も治療継続中である.ALL患者の理学所見として胸骨の叩打痛は1/3の患者に認められるとされるが,本例のように胸骨の自発痛を主訴とした症例は稀と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004