発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006153687
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70歳男.発熱と全身倦怠感が出現し,胸部X線で左胸水を指摘された.胸腔ドレーンで膿状の排液があり,膿胸の診断で胸腔洗浄,抗生物質投与を受けたが,排液および症状は軽快しなかった.左胸膜肺摘除術を施行し,胸膜癒着が強かったため横隔膜の筋層を一部切除した.術後は比較的順調であったが,19日目より微熱,白血球増多を来たし,胸部X線で左横隔膜ヘルニアを疑った.術後22日には圧痛,筋性防御も認め,腹膜炎を伴う消化管穿孔を合併した左横隔膜ヘルニアと診断し緊急開腹術を行った.左横隔膜中央部は欠損しており,そこから胃の上部が脾臓と横行結腸を伴うように胸腔に脱出していた.剥離を進めたところ,挙上された横行結腸の脾屈曲部付近に肋骨切離断端が突き刺さるような形で穿孔していた.穿孔部周囲の結腸組織は挫滅しており,穿孔部を含め20cm部分切除した.肛側はPetz縫合器を用いて埋没し,口側は単孔式人工肛門とした.人工肛門閉鎖後に退院し,10年経過して健在である
©Nankodo Co., Ltd., 2006