発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008366071
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59歳女。前胸部痛、前胸部腫脹を主訴とした。胸骨柄部と体部の接合部を中心に径約10cmの硬い腫瘤を触知し、胸部CTで胸骨柄部から体部に及ぶ77×105mmの骨破壊像を伴う腫瘤を認め、両胸腔内には胸水の貯留を認めた。腫瘤の一部は左腕頭静脈を経て上大静脈の内腔にも伸展していた。経皮針生検を施行し、未熟神経外胚葉性腫瘍(PNET)と診断し、腫瘍部への30Gyの照射と、化学療法を2コース施行した。腫瘍は縮小し胸水も消失したが、次第に腫瘍は皮膚を破って自潰し、周囲に蜂窩織炎を伴い、滲出液が多量にみられた。腫瘍の縮小にて完全切除が期待されたため手術を施行した。左腕頭静脈・左横隔神経・内頸静脈・外頸静脈は腫瘍に巻き込まれており、合併切除とした。左腕頭静脈を上大静脈への流入部で結紮切離し、腫瘍を摘出した。胸骨全摘および左右の第1~4肋軟骨、左右鎖骨頭の摘出が必要であったために広範な胸壁全層欠損を生じ、レンジを2枚のポリプロピレンメッシュでサンドイッチして肋骨断端および周囲筋膜に固定することで再建した。皮膚軟部組織の再建は左有茎広背筋皮弁により行った。術後数時間で人工呼吸器から離脱でき、創の治癒も順調で、術後6週目に上大静脈への放射線療法を開始した。術後3ヵ月で全身への多発遠隔転移にて死亡した。
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