発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005055347
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68歳男.学童期から嚥下困難感を自覚していたが,糖尿病の教育入院中の胸部CTにて後縦隔の異常陰影を指摘された.入院後の胸部X線側面像で気管の前方偏位を,胸部CTでは気管・椎体(Th4~Th7)間に腫瘤陰影を認め,気管・食道を前方に圧排偏位しており,食道造影では上部食道が背側より壁外性に圧排されていたが粘膜面は滑らかであった.右開胸下に後縦隔腫瘍摘出術を施行したところ腫瘍は5×3cm大・弾性硬で胸椎椎体前面と気管膜様部の間に位置し,表面は縦隔胸膜に覆われ直上を奇静脈が走行していた.腫瘍は周辺臓器と強く癒着し可動性に乏しく,癒着を鋭的に剥離して腫瘍表面を覆う縦隔胸膜・切断した奇静脈とともに摘出した.摘出標本の病理組織学的所見から異型性に乏しい傍神経節腫(PG)と診断された.嚥下は術前と比べ楽なり,術後3年を経過した現在,再発は認めていない.本例は60年の経過を有し,PGの自然史を考える上で興味深い症例と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004