発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011060413
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26歳男。胸部異常陰影を主訴とした。胸部CTでは左後縦隔に造影効果を伴う48mmの腫瘤影を認め、胸部MRI所見から血流の豊富な良性腫瘍が考えられた。胸腔鏡下に手術を開始したところ、腫瘍剥離中に出血が多量となり、コントロールに難渋したが、小開胸を追加することで止血操作を確実に施行できた。また、大動脈から流入する栄養血管を認め、直視下にこれを結紮切離し、腫瘍を摘出しえた。摘出標本の病理組織学的所見では明らかな悪性所見はなく、クロモグラニンAによる免疫組織化学染色陽性より傍神経節腫と診断した。現在、無再発生存中であり、病理組織所見のMIB-1染色陽性率は1%と悪性の可能性は極めて低いと考えられるが、遠隔転移や再発を認めた報告例があるため、慎重な経過観察が必要である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010