発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009052484
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16歳女。学校検診で胸部異常陰影を指摘された。胸部CTで左横隔膜、下行大動脈外側、胸椎左側に接して56×52×98mm大の腫瘤を認めた。大部分が脂肪濃度を呈し、内部に島状、索状の陰影を認め、その一部で微小石灰化が疑われた。腫瘍マーカーと種々の画像所見から良性の縦隔腫瘍と考えられたが、高分化脂肪肉腫の可能性が否定できず、手術を施行した。病理組織学的所見で、腫瘍は黄色調の軟らかく、割面に白色の線維性瘢痕様組織や小嚢胞が散在していた。大部分は成熟脂肪細胞組織からなり、線維性組織や血管・末梢神経を散見した。瘢痕様部位では線維組織とともに神経膠組織を認めた。小嚢胞は表皮組織で裏打ちされ、内部に角質物が充満していた。脂肪組織に一部やや未熟な細胞を認めたが、成熟奇形腫と診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008