発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005202424
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37歳女.仙骨部痛と肛門周囲部痛を主訴とした.初診の約7ヵ月前より症状が出現し,近医にて仙腸関節炎として加療されたが軽快しなかった.入院時理学所見にてL3-L4腰椎棘突起に叩打痛,仙骨部と肛門周囲部に感覚過敏を認め,MRI所見にて馬尾腫瘍を認めた.顕微鏡下で手術を行い,易出血性で赤褐色の皮膜に覆われた腫瘍を認めた.腫瘍は周囲の馬尾と著しく癒着しており,可及的に一塊に摘出したところ1本の馬尾から発生していた.electromagnetic field systemを用いて残存した腫瘍を蒸散し,正常神経組織を残して腫瘍のみを全摘した.摘出した腫瘍は約3.5cm長で,病理組織学的所見より,馬尾発生の傍神経節腫と診断した.術後経過は良好で,術後2年2ヵ月現在,症状は消失し,腫瘍の再発を認めない.腰椎発生の傍神経節腫の報告は稀であるが,術中,易出血性で馬尾発生の腫瘍を認めた場合は,傍神経節腫を考慮した剥離と止血操作を行い,全摘を行う必要がある
©Nankodo Co., Ltd., 2005