発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012175467
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17歳男。2年前に発熱と頸部リンパ節腫脹で受診し、胸部異常陰影を指摘された。CT所見より前縦隔腫瘍と診断し、腫瘍切除術を施行した。病理組織診断は縦隔胸膜発生の孤立性線維性腫瘍で、悪性所見はなかった。経過観察中に腫瘍切除部に腫瘤陰影を認め、再発と診断して再手術を施行した。腫瘍は胸骨後面、右肺、心膜、無名静脈、上大静脈に強固に癒着しており、部分体外循環下に無名静脈~上大静脈周囲を剥離した。心膜および右縦隔胸膜、右上葉の一部を合併切除し、腫瘍を摘出した。心膜欠損部はPTFEシートで補填した。病理組織所見で、羽毛状・星芒状の異型のない線維芽細胞が膠原線維を交えて不規則に錯綜・増殖していた。核分裂像は乏しく、細胞密度は低く、悪性所見は認めなかった。初回手術標本も同様の所見であり、最終的にデスモイド腫瘍の再発と診断された。術後12日目に退院し、追加治療は希望されず、17ヵ月経過して再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012