発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005055346
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54歳男.12年前に急性心筋梗塞(AMI)を発症し左前下行枝#6に経皮的冠状動脈形成術(PTCA)を施行,さらに7年後に#1,#12の狭窄病変にPTCAを施行された.今回,胸部不快感を主訴に救急外来を受診,前壁の陳旧性心筋梗塞に合併する後壁AMIと診断され緊急入院となった.入院後の冠動脈造影にて#2の完全閉塞を認め,検査中に心原性ショックをきたしICU入室となり,発症2週後の心カテーテル所見では#2の再狭窄は認めず,左鈍縁枝に90%狭窄を認めた.左室駆出率(EF)26%と重度の左室機能低下を認め,心エコー所見では僧帽弁の器質的変化はみられず,II度の逆流を認めた.手術では体外循環確立後に,左内胸動脈-左回旋枝吻合・僧帽弁輪形成術を施行,大動脈遮断解除後に右内胸動脈-左前下行枝・#3-#4吻合を施行した.術後心カテーテル・エコー検査所見では僧帽弁逆流は消失・EF43%に改善した.以上より,低左心機能症例での心拍動下手術は心筋保護上有用であると考えられた
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