発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006210167
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24歳女.1年前より咳を認め,徐々に増悪した.胸部X線で心陰影を右方へ圧排し,左胸腔の2/3を占拠する巨大な腫瘤影を認め,2年前の検診時陰影と比較したところ急速な増大が示された.MRIでは腫瘍に脂肪成分,石灰化など種々の成分が混在していた.奇形腫などを疑い開胸術を施行し,腫瘍は胸腔内背部に位置し,下葉,心膜,大動脈,横隔膜などと線維性に強く癒着していた.鋭的あるいは鈍的に腫瘍被膜部で癒着を剥離し,腫瘍を完全摘出した.術後,圧排され含気低下を来たしていた下葉はほぼ完全に拡張し,経過順調で12日目に退院した.3年経過して再発はない.摘出腫瘍の大きさは27×19×11cm,重量3.2kgで,大小の結節性病変から成り,黄色を帯びた脂肪様部分や硬く線維化した部分,骨様の部分が混在していた.病理所見は,よく分化した脂肪腫,脂肪細胞に異形性を認める脂肪肉腫,線維肉腫様部分が大半を占め,一部に骨形成や軟骨肉腫様部分があり,悪性間葉腫と診断した
©Nankodo Co., Ltd., 2006