発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005017159
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90歳8ヵ月男.息切れを主訴とした.1994年,大動脈弁逆流(AR)を指摘されたが,著患なく日常生活を送っていた.2003年,急性心不全を発症し,60mmのValsalva洞動脈瘤とIII度のARを認めた.左室収縮力,冠状動脈に異常はなかった.近年のBentall手術の手術成績が良好であること,心不全合併のARであること,大動脈基部が拡大しているため解離や破裂の危険が高いこと等から手術適応と判断した.患者は高齢ではあるが,ADLを維持し,肝・腎・肺等の諸臓器障害がなく,Bentall手術に耐えられると判断した.Bentall変法による大動脈基部置換術を施行し,術後ICUで一時不穏状態となったが,積極的な早期離床が奏効し,不穏や肺合併症等を回避できた.術後15日の大動脈,冠状動脈造影像で良好な基部再建を確認し,術後21日に退院となった.病理組織所見では,大動脈弁尖は石灰沈着,硝子化がみられ,瘤壁には粥腫形成やムチンの沈着があり,動脈硬化に伴う変化であった
©Nankodo Co., Ltd., 2004