発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017264353
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
症例は51歳男性で、48歳より大動脈弁閉鎖不全(AR)を指摘された。3ヵ月前より労作時呼吸困難が出現し、心エコーでARの進行を認めた。経胸壁心エコーで、壁運動は乳頭筋レベルから心尖部にかけて低下し、左室駆出率は54.8%であった。左室内腔は拡大していた。壁運動低下部位に一致して深い間隙を伴う網目状の肉柱形成を観察し、カラードプラ法で間隙内に血流を確認した。心臓カテーテルでは、左室造影像で肉柱間隙内への造影剤流入を観察し、左室内腔が濃淡二層に造影された。左室緻密化障害を合併した高度ARおよび軽度僧帽弁閉鎖不全(MR)と診断し、手術を施行した。術翌日よりワルファリンカリウム、アスピリン、カルベジロールの内服を開始し、術後16日目に独歩退院した。術後5ヵ月の心エコー所見で左室内腔の縮小を確認し、MRは消失し、壁運動も改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2017