発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006051521
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72歳男.アルコール性肝硬変の既往歴がある.感冒様症状に続き下腿浮腫・呼吸困難が出現し,心エコーにて大動脈弁閉鎖不全(AR)と上行大動脈拡大を認め紹介入院となった.入院後の画像所見からIII度ARと診断され,多量の腹水,脾腫と肝腫大および軽度の心膜肥厚を認めたことから,肝硬変,収縮性心膜炎を合併した大動脈弁輪拡張症の診断で手術を行った.術中所見では心膜に石灰化は認めなかったが,右室自由壁から左室まで癒着しており,可及的に心膜を剥離したところ中心静脈圧は低下し,右室の収縮・拡張は著明に改善した.26mmCEP生体弁を人工血管に内挿したグラフトを作成してBentall手術を施行し,左右冠状動脈はCarrelパッチ法にて再建した.人工心肺時間169分・大動脈遮断時間128分で,ICU入室翌日には抜管し,第5病日一般病棟に帰室視し,術後NYHA分類は術前のIII度からI度に改善して,第17病日に退院となった
©Nankodo Co., Ltd., 2005