発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005017160
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59歳女.胸部異常影を主訴とした.精査により原発性肺腺癌(cT2N0M0)と診断され,手術を施行した.肺靱帯処理後,下肺静脈の処理を試みたが,本来の位置より頭側に肺静脈が存在した.上肺静脈を確認すると,前記の血管しか認めず,上・下葉間の切離を先行させた.肺実質切離を進めていくと,上葉から葉間へ出てくる血管を認めた.これが下葉から肺静脈と合流して心嚢外で単幹を形成し,左房へ流入していた.この下葉から肺静脈を上葉からの肺静脈と合流する手前で結紮切離し,さらに下葉切除術の残りの操作と縦隔リンパ節郭清を追加した.術後経過は良好で,第8病日に退院し,8ヵ月を経過する現在健在である.病理組織所見では,高度な核異型をもった腫瘍細胞が多数みられ,充実性あるいは乳頭状に増殖していた.遡及的にCTを見直すと,上・下肺静脈が本来の位置にみられず,上幹と下幹分岐部付近に左房に流入する血管を1本認めた
©Nankodo Co., Ltd., 2004