発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004211511
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59歳女.3年前より関節リウマチ(RA)に対しprednisolone 9mg服用中であった.今回,早朝,呼吸困難を自覚し,心肺停止となった.救急蘇生による蘇生後の意識レベルはJapan Coma Scale分類でIII-300.血圧は130/20mmHgと著明な脈圧の拡大を認めた.胸部X線像では著明な肺鬱血を認めた.WBC 14500/μl,CRP 20.3mg/dl,RAテスト陽性で,RAPA160倍,血清補体価は正常範囲内であった.RA鎮静化のため,prednisoloneを30mgへ増量した.RA進展度はstage II,生活機能障害度はclass IIIであった.心エコー所見で右冠尖と左冠尖の交連部付近から逆流ジェットを認め,大動脈弁閉鎖不全(AR)は高度で,軽度の僧帽弁閉鎖不全(MR)も認めた.心カテーテル検査でSellers分類IV度のARとI度のMRを認めた.以上より,RAに合併したARと診断し,2001年2月大動脈弁置換術(AVR)を施行した.大動脈弁の病理組織像はAlcian-blue染色陽性の粘液腫状変化のみで,リウマチ結節を示唆する変形した膠原線維束や炎症細胞の浸潤は認めなかった.術後もステロイド服用を継続したが,感染症や創部治癒遅延などの合併症もなく,経過は良好であった
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