発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250150
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症例は46歳男性で、労作時の胸部圧迫感を主訴に近医を受診、負荷心電図上で虚血性変化を認め、精査加療目的で紹介入院となった。入院時血液検査にて活動期の梅毒感染を認め、冠動脈造影所見では左冠動脈入口部に90%の狭窄を認め、梅毒性動脈炎による左冠動脈入口部狭窄・大動脈弁閉鎖不全症と診断された。活動期梅毒に対しbenzylpenicillin potassium 200万単位/日の投与を開始、改善は認めなかったが炎症反応が改善傾向であり抗生剤投与開始8日後に手術施行となった。術中所見では上行大動脈は全長にわたり直径4cm大に拡張、体外循環確立後に大動脈基部を斜切開、大動脈壁は著明に肥厚しタマネギの皮様で約5cmの厚さを認めた。大動脈弁は三尖弁で各弁尖に軽度の肥厚・短縮を認め、バイバス術では左内胸動脈-左冠動脈前下行枝(#7)、右胃大網動脈-差冠動脈回旋枝(#15)を吻合、更に大動脈弁置換術を施行した。術当日人工呼吸器より離脱、翌日一般病棟に転出し術後造影にて両グラフトの開存を確認して術後16日目に退院となった。
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