発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005051670
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32歳男.労作時息切れを主訴とした.30歳時,脊髄炎を罹患した際に軽度の大動脈閉鎖不全症(AR)を指摘され,精査にてAR III度と左室拡大を認め,手術目的で入院した.血圧130/52mmHg,脈拍72/分,第4肋間胸骨左縁に最強点を有するLevinIII/VI度の心雑音を聴取し,経食道心エコーでは右冠尖と左冠尖が癒合した前後型の大動脈二尖弁を認め,前方弁尖の逸脱と後方に向かう逆流ジェットが確認された.先天性大動脈二尖弁に伴うARと診断して弁形成術を施行したところ,術後経過は良好で弁尖の逸脱と心雑音は消失し,左室拡大の改善がみられた.なおI度のARが残存したものの最高圧較差8.8mmHg,平均圧較差5.1mmHgと血行動態的に問題はなかった.先天性大動脈二尖弁のARに対する弁形成術は遠隔成績も安定しており,特に若年者に対して積極的に行うべき術式であると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004