発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011060414
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71歳男。咳嗽を主訴とした。X線像で心拡大と胸水貯留を認め、うっ血性心不全と診断されたが、その後の精査で重度の大動脈弁閉鎖不全症(AR)と冠状動脈狭窄症を指摘された。心エコー所見、心臓カテーテル所見で大動脈弁無冠尖の瘤化と同部位からのAR Sellors分類IV/IV度の高度逆流、軽度の心機能低下、左心室の拡張、左前下行枝75%の有意狭窄を認め、生体弁での大動脈弁置換術と左内胸動脈のバイパス手術を行った。術中所見、病理組織所見から、左右冠尖は軽度の変性のみであったが、無冠尖は弾性線維が消失して全体が瘤化しており、突出した左冠尖交連寄りに約7mmの穿孔が認められた。治癒期感染性心内膜炎(IE)として周術期を治療した結果、術後は合併症なく経過し、心機能は著明に改善した。本症例では瘤形成後に脆弱部分が穿孔したため重度のARとなり、心不全をきたしたと推察された。
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