発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004234808
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37歳男.黄色ブドウ球菌に伴う感染性心内膜炎により重症大動脈弁閉鎖不全症をきたしていた.強い低酸素血症を認めた.血清ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチドは2000pg/mlを越えていた.胸骨正中切開で心臓にアプローチし,逆行性冠灌流を用いてon-pimp心拍動下大動脈弁置換術(AVR)を行った.冠状静脈洞(CS)灌流量は300400ml/分,CS内圧は60~70mmHgとした.人工心肺からの離脱を試みたが不可能であり,静脈-動脈バイパス(VAB)に移行した.術72時間後にはVABより離脱できた.その後,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に感染したが,徐々に改善し,心内膜炎の再燃は認められない.ハイリスク例に対する逆行性冠灌流を用いたon-pimp心拍動下AVRは,考慮すべき術式の一つであると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2004