発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004211510
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
58歳女.1990年頃より大動脈弁閉鎖不全症(AR)を指摘されていた.2002年7月,喘息様発作で受診,鬱血性心不全と診断された.胸部X線で肺鬱血所見を,心電図所見で心房細動を認めた.経胸壁心エコー所見でARはIII度であり,重度の僧帽弁逆流[僧帽弁閉鎖不全症(MR)III度]も伴っていた.入院後,利尿薬,カテコラミン,血管拡張薬などを投与したが,心不全のコントロールが困難であったため緊急手術を施行した.大動脈弁自体の変性は軽度であったが,Valsalva洞内に左冠状動脈口の末梢から右冠状動脈口の中枢に向い,約2/3周ほど横走する解離を認めた.その末梢側には解離は進展していなかった.この時点で限局性大動脈解離によるARの急性増悪と判断した.21mm Bicarbon弁と22mm Hemashield gold人工血管を用いて,Bentall型の大動脈基部置換術を施行した.大動脈弁尖に軽度の石灰化を認め,大動脈壁には中膜壊死や粘液様変性は認めなかった.術後第1病日に人工呼吸器より離脱した.術後血行状態は改善し,術後の胸部X線像でCTRは61%に改善した.術後17日に内科に転科した
©Nankodo Co., Ltd., 2004