発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004164390
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62歳男.弓部から下行大動脈にかけて多発した大動脈瘤と大動脈弁閉鎖不全症(AR)に対して,二期的手術としての大動脈弁置換術と弓部大動脈置換術及びelephant trunk法を初回手術として施行したが,術直後より脊髄虚血による下半身の不全対麻痺をきたした.大動脈瘤が弓部から下行大動脈にかけて多発していること,冠状動脈狭窄を伴うARを合併していることから一期的修復手術は困難であると考え,初回手術としては大動脈弁置換術と弓部置換術を行い,下行大動脈瘤内腔にはelephant trunk法による人工血管の内挿を行った.術後約20時間に覚醒したが,右側優位の両側下肢の不全対麻痺が出現し,手術に関連した急性脊髄障害と判断し,ステロイドパルス療法を開始した.その後機能回復訓練などを積極的に施行したが,最終的に右下肢の運動麻痺と軽度膀胱直腸障害が残存し,約6ヵ月後に胸腔内破裂で死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2004