胸部外科の指針
大動脈弁置換術後遠隔期における上行置換術
林 泰成
1
,
伊藤 敏明
,
前川 厚生
,
澤木 完成
,
藤井 玄洋
,
星野 理
,
所 正佳
,
柳澤 淳次
,
碓氷 章彦
,
青見 茂之
1名古屋第一赤十字病院 心臓血管外科
キーワード:
再手術
,
三尖弁閉鎖不全症
,
僧帽弁狭窄症
,
大動脈弁
,
動脈瘤-解離性
,
後向き研究
,
大動脈瘤-胸部
,
人工弁置換術
,
大動脈置換術
,
Bentall手術
Keyword:
Aortic Valve
,
Aneurysm, Dissecting
,
Mitral Valve Stenosis
,
Retrospective Studies
,
Reoperation
,
Tricuspid Valve Insufficiency
,
Aortic Aneurysm, Thoracic
,
Heart Valve Prosthesis Implantation
pp.523-529
発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013316871
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1985年~2010年に行った大動脈弁置換術(AVR)667例のうち、AVR後に上行置換術を行った9例(男性6例、女性3例、AVR施行時の平均年齢58.6±11.0歳)を対象として後ろ向き調査を行った。対象の初回手術時における弁膜症の内訳は大動脈弁閉鎖不全症(AR)6例、大動脈弁狭窄症(AS)3例であった。手術所見によるとAR例は全て三尖弁、AS例は全て二尖弁で、40mmを超える上行大動脈の拡大が9例中7例に認められた。初回術後早期に再手術となった例を2例に認められたが、各々52mm、40mmとAVR時に大動脈径の拡大が認められたものの、1例は低侵襲心臓手術であり、もう1例は高齢のために放置した例であった。また、長期経過後に再手術となった例が3例認められたが、これらは経過観察中に上行大動脈の拡大が指摘されず、外来検査で偶然指摘された症例であった。尚、上行大動脈の拡大率は0~4.5mm/年で、大動脈解離を起こした症例と大動脈瘤の症例との間に臨床的特徴の相違は認められなかった。
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