発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012356926
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75歳男。半年間での胸部大動脈瘤の急激な増大、背部痛、嗄声を主訴とした。腎硬化症で、15年前から血液透析が導入されていた。心エコーで、大動脈弁に著明な石灰化があり、開放制限を認め、左室大動脈平均圧較差から中等度の狭窄と診断した。胸腹部CTで、上行大動脈から総腸骨動脈まで広範な石灰化病変と、弓部大動脈部位に径86mmの大動脈瘤を認めた。手術は、大動脈弓部人工血管置換と大動脈弁置換を同時施行した。大動脈の石灰化は高度であったが、CT上大動脈瘤末梢部に石灰化が斑な部分が存在し、そこで吻合可能と判断して手術を行った。術後第20病日に、心嚢液の貯留があり、心房細動と血圧低下を来したが、心嚢ドレナージを施行したところ速やかに改善し、第55病日に退院した。大動脈弓部第3分枝や大動脈中枢側・末梢側に狭窄や拡張性病変は認めなかった。
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