臨床経験
大動脈弁置換後心臓外大動脈-右房瘻
松本 和久
1
,
四元 剛一
,
山本 裕之
,
久 容輔
,
峠 幸志
,
向原 公介
,
重久 喜哉
,
松葉 智之
,
森山 由紀則
,
井本 浩
1鹿児島大学 心臓血管外科
キーワード:
血管瘻
,
術後合併症
,
心臓疾患
,
心房
,
大動脈疾患
,
大動脈弁
,
大動脈弁閉鎖不全症
,
X線CT
,
縫合法
,
Daptomycin
,
カラーDoppler心エコー図
,
致死的転帰
,
敗血症
,
三次元イメージング
,
人工弁置換術
,
緊急手術
Keyword:
Aortic Diseases
,
Aortic Valve
,
Aortic Valve Insufficiency
,
Heart Atria
,
Heart Diseases
,
Postoperative Complications
,
Suture Techniques
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Vascular Fistula
,
Fatal Outcome
,
Daptomycin
,
Sepsis
,
Echocardiography, Doppler, Color
,
Heart Valve Prosthesis Implantation
,
Imaging, Three-Dimensional
pp.743-747
発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015395167
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86歳女。大動脈弁閉鎖不全に対するモザイク生体弁を用いた大動脈弁置換術から2週後に、高熱、呼吸困難、乏尿、頻脈が出現した。正中創上方から膿汁を排出し、膿と血液からMRSAが検出され、敗血症の診断でdaptomycinの点滴静注を行い治癒したが、弁置換術後41日に再度呼吸困難が出現した。CTで大動脈前方から右房の前方に交通する血腫内に大動脈-右房瘻の形成を認め、開胸手術を行った。血腫を除去したところ、初回手術の脱血管挿入部に一致して右房の孔を認め、バルーンカテーテルを挿入・閉塞した。次いで、上行大動脈を遮断後、心拍動とともに大動脈の孔を認め、バルーンカテーテル挿入し、心筋保護液を注入し心停止を得た。大動脈の孔は、初回手術の心筋保護液注入部に一致していた。右房・大動脈の孔ともに瘻孔閉鎖術を行った。術後経過は良好であったが、CRPが1~5mg/dlを推移した。術後25日に脳幹出血を生じ、心エコー検査で人工弁周囲に感染所見は認めなかったが、緑膿菌による肺炎を併発して瘻孔閉鎖術後114日に死亡した。瘻孔形成の原因は、前回手術で心筋保護液注入用のカニューレを術中留置していた場所から生じた敗血症に伴い、徐々に出血が染み出して増大した仮性動脈瘤と考えられた。
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