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1.はじめに
高知県では、平成7年に発生した阪神・淡路大震災を受けて、平成8年7月に行政・民間の枠を超えた高知県災害救急医療体制討議会を発足し、大規模災害を想定した救急医療体制のあり方の骨子がまとめられた。平成9年7月には、具体的な行動指針として、「高知県災害救急医療活動マニュアル」が作成された。
A病院は高知県B市支部に属し、災害支援病院の役割を担っている。また、高知県登録現場医療チームとして、医師2名・看護師4名・薬剤師1名を1チームとして、3チームを編成し高知県に登録している。
平成13年に、今後発生か懸念されている南海大地震や大規模災害に備え、行動できる看護師が多く必要であるという見解から、院内編成現場看護チーム(エマージェンシーナース)を結成した(以下Eナースとする)。メンバー構成は、A病院の看護師23名と高知県登録現場医療チームの看護師12名の合計35名である。
Eナースの業務役割は、①高知県登録現場医療チームのサポート及び「兵庫県南部地震」を教訓とした県外派遣時における災害看護の中心的役割②院内トリアージにおける医師のサポート及び災害看護の中心的役割の2点としている。
Eナースの発足以来、Eナースを対象に学習会・災害時の実際・救癢所の役割・救癢所設置・トリアージについて研修会を開催し、さらに県市合同都市型防災訓練の参加などの活動をしてきた。しかし、Eナースとして自発的に参加しているとはいえ自主的な学習会の開催や会合への出席率は低く日常での意識は低いように感じた。また組織作りも不十分であり、日常業務としての役割も明確にされていない現状がある。
Eナース以外の看護師に関しても、災害時の支援病院として機能・役割を果たすように災害対策マニュアルが作成、周知されているが、実際に病院で勤務する看護師で、災害活動や災害時の救援活動に参加したスタッフは少なく経験の積み重ねもない。
平成16年度日本災害看護学会報告の中で、看護師は災害看護に関する認識の低さや、経験の少なさゆえに平常時からの災害看護教育の必要性を感じるという報告があった。災害発生時、看護の役割が効果的にかつ効率的に発揮できるために、平常時より病院で勤務する看護師として役割を意識付け、具体的には病棟内・施設内のネットワークの周知徹底や、組織として行動の連携を体験する為の防災訓練や早期に災害看護支援システムを構築する必要性があると考える。
そこで、Eナースを含めた全看護師の災害看護に関する意識と、具体的な平常時での活動の実態を調査することで、今後取り組まなければならない課題が見いだすことができるのではないかと考えた。
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