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編集後記
中村 春基
pp.104
発行日 2023年1月15日
Published Date 2023/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203267
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2022年9月9日に国連障害者権利委員会による,わが国の「障害者の権利に関する条約」の履行状況に関する総括所見が出された.75項目に及ぶ量,質ともに異例の取り扱いであった.第26条のハビリテーションとリハビリテーションについては,留意事項として,地域格差,医学モデルの重視等を挙げ,勧告として,人権モデルに基づく実践等を求めている.全体では,他者との平等,人権の尊重を基本として,精神科医療(虐待や拘束,強制入院,長期入院等),インクルーシブ教育等々の改善を求めている.OTの対象の多くが障害者(児)であることを踏まえると,総括所見を理解した実践が求められる.とりわけ「人権モデル」は一考に値する.
ここに至るまでの,パラレルレポートの提出,ロビー活動,ジュネーブでの審査への100名に上る傍聴者等々,関係者の皆様のご尽力に心より敬意を表する.加えて,今国会での束ね法案(障害者総合支援法・精神保健福祉法・障害者雇用促進法・難病法・児童福祉法)の審議の中で,総括所見の内容を踏まえた質問が多くなされたが,国の動きは「牛歩」のごとしである.
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