--------------------
編集後記
宮崎 明美
pp.496
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201297
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
「おらは死んじまっただ」(帰って来たヨッパライ)この懐かしいフレーズとともに歌声とTVの画像がしっかり蘇ってくる.中学生のころだったかなあ……懐かしい.昔のテープを出して聞いてみた.このたびの特集にあたり,北山 修先生との対談が計画され,どんな内容になるのだろうとわくわくして待っていた.「大事にしなきゃいけないものは二者コミュニケーション」,「アール・ブリュットでは,(芸術の)治療としての側面はあまり強調されていません.(中略)芸術を治療に用いることって,そんなに簡単ではないと思うんです.病態が重いときのほうが作品としては面白かったりする.ここにすごい矛盾が……」「第三者の評価を問題にするのなら,それは治療ではなく社会適応……」などなど,納得できる言葉がいっぱい並んでいる.
作業療法で取り組んだ活動がひとつの作品になり,芸術として認められる.そうなりたいと思って取り組んだものでなくても,ただただ好きで取り組んだものであっても,多くの人々に感動を与える.作品を通して社会に一歩を踏み出すことになる.作業を使って治療をする狭義の作業療法から,好きな作業を通して自分を表現し,感動を与え(ご本人はそうしようとは思ってはいないであろうが),社会にその存在を伝える.そうした流れがその人の人生を広く深くしていくであろう.
Copyright © 2018, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.