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2012年(平成24年),今から5年前,児童福祉法が改正され,国は人口10万人に1か所の単位で児童発達支援センターを配置し,その地域に住む障害がある児が,障害の別なくセンターに通い,療育が受けられるようにと考えた.それまで肢体不自由,知的障害,重症心身障害等の障害別の通園であったところを医療型・福祉型の児童発達支援センターに変更.障害枠を取り払い,その地域で全障害を受け止められるようにした.この体制のよし悪しは今後精査されていくであろうが,そのセンターは周辺の児童発達支援事業所とも連携をとり,保育所等訪問支援事業や相談支援事業を展開し,その地域を支えていくことが求められている.
この5年の間に医療から福祉の世界に飛び出して活躍するOTが増えている.今回の特集はそんな元気のよい児童発達支援の現場からの報告である.森川氏の報告にあるように,当時「預かり」が中心になってしまっていた児童デイサービスにメスを入れるべく法改正に至ったのが「放課後等デイサービス」であり,まさしく療育を求められている事業である.今年よりさらに厳しく支援内容を求められるようになり,OTの出番である.福祉領域でOTに求められることに,障害についての説明や解釈がある.保育士や児童指導員の疑問に答えられる力,医療との連携をとる力が必要なことも多い.障害についてわかる.生活がわかる.家族がわかる.ライフステージがわかる.そしてチームの要として影に日なたにがんばれる.OTの力量が問われている.山梨県作業療法士会特別支援教育委員会の取り組み,長崎県松浦市役所でがんばっている行政OTの報告等,どれも元気いっぱいの心温まるものだった.これから先も,医療の知識と技術を基礎にもっているOTだからこそできる支援をお願いしたい.福祉の領域でも,教育の領域でも,行政においても,大空に悠々と泳ぐ鯉のぼりのように,力強くかつ柔軟にがんばり続けてほしいと思う.
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