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東日本大震災から6年.あのときTVから流れてきた津波の映像を目にし,“これは何? 何?”と心が叫んだ.現実とは思えなかった.何度も流れる画面を見るたび呆然となり,手は止まり,見入っていたことを思い出す.時の経過とともに被害の大きさに驚き,私たちに何ができるのか,何からするべきなのか等,遠い岡山の地からも懸命の支援をさせてもらった.そんなとき,福島整肢療護園のOTから「旭川療育園から応援物資が届きました!!」と直接連絡をもらった.全国の肢体不自由児施設が分担して支援する県を決め,物資搬送の経路を探しながらのことだった.連絡をもらったOTからは,彼女が担当する脳性麻痺児が避難するとき,片手用のリコーダーを教室に残してしまい,「同じものが手に入らないだろうか」という相談も受けていた.「応援物資の箱に見知った名があってとても嬉しく思い,安心もした」とお礼を言われた.私も安堵の思いをしたのである.
あの大震災以降,大きな台風や熊本の地震があった.それ以前も大きな地震や台風の被害が多くあり,日本列島は自然災害のるつぼである.今回の特集では臨場感いっぱいに自然災害の恐ろしさを感じた.そして,わが職場でも行われる防災訓練に真剣に取り組もうと,決意も新たにした.また,この特集で大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(Japan Rehabilitation Assistance Team:JRAT)の存在と活躍を知り,統率された活動のあり方の重要性もわかった.専門家集団の支援のあり方も徐々に明らかになってきているこの事実を,リハ職全体が知っておく必要があると思う.卒前教育の中に,“大規模災害時のリハ職の役割”というような講座を設け,若い心に,リハ職の役割・使命をしっかりと植えることができないかと思う.災害時の支援がスムーズにしっかりと進められるようにと切に願う.
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